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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻3号

2016年03月発行

連載 目指せ!眼の形成外科エキスパート・第19回

眼形成手術の神髄—眼瞼欠損の修復—欠損部位・範囲に対するブレインストーミングが勝負を決める!

著者: 柿﨑裕彦1

所属機関: 1愛知医科大学病院眼形成・眼窩・涙道外科

ページ範囲:P.284 - P.290

文献概要

はじめに

 この分野,柿﨑のライフワークです。この分野を勉強するためだけにイギリスやオーストラリアに留学したといっても過言ではありません。日本で常識となっていた考え方や方法と全く異なった再建を初めて目の当たりにしたとき,驚きを通り越して感動すら覚えたものです。

 眼瞼の悪性腫瘍の切除後や外傷ではかなりの量の眼瞼組織が欠損しますが,この状態では「眼」の恒常性が失われてしまいます。先天眼瞼欠損でも眼瞼組織が欠損しています。「眼」の機能を維持するためにはその欠損を補塡して,眼瞼を構造的・機能的に良好な状態に修復しなくてはなりません。眼の形成外科の理念は,「形成外科的な手技を用いて眼科治療を行うこと」1),すなわち,視機能の質(quality of vision:QOV)とのかかわりのなかに眼の形成外科の存在価値があるわけです。

 以前の本誌の特集で「眼にやさしい眼瞼腫瘍の切除後再建」(66巻13号掲載)について解説し,眼瞼欠損の治療に対する基本コンセプト,すなわち,「眼瞼欠損は眼瞼の組織で再建」すべきことを強調しました。「眼球」は非常にデリケートな臓器であり,知覚神経が密に分布していますが,幾度となく繰り返される瞬目において,われわれは眼瞼の存在を自覚することはありません。その存在が「自覚」されてはならない「眼瞼」を再建するためには,それらしく「形を整える」だけでは十分ではなく,「機能」までをも含めた再建が要求されます。教科書的には「良い」とされてきた再建手法も,それが適切でない場面にしばしば遭遇します(図1,2)。このような場合,眼表面は傷害され,患者は頑固な眼不快感を訴えます。

 本稿では,眼瞼欠損に対する具体的な修復方法を「目にやさしい」という観点から解説していきます。もちろん,美容的配慮も行っての話ですよ!

参考文献

1)柿﨑裕彦:眼形成外科—虎の巻.9-24,33-44,メディカル葵出版,東京,2009
2)柿﨑裕彦:眼にやさしい眼瞼腫瘍の切除後再建.臨眼66:1701-1708,2012
3)土井秀明:Mustardeの交叉皮弁.小川 豊(編):各種局所皮弁による顔面の再建:最近の進歩.55-64,克誠堂出版,東京,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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