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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻3号

2016年03月発行

文献概要

特集 第69回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著

診断に苦慮した眼内鉄片異物の1例

著者: 田岡梨奈1 安西陽子1 佐藤尚栄1 稲崎紘1 佐藤新兵1 山根真1 門之園一明1

所属機関: 1横浜市立大学附属市民総合医療センター眼科

ページ範囲:P.379 - P.382

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要約 目的:眼内に異物が18か月間滞留し,MRI検査で発見された1症例の報告。

症例:44歳男性が9か月前から徐々に進行した右眼の視力低下と夜盲で受診した。

所見:矯正視力は右0.6,左1.5で,右眼に求心性視野狭窄があり,網膜電図は陰性型であった。眼窩内を精査するために頭部MRIを実施しようとした際に右眼痛を訴えた。問診で,受診する17か月前にハンマーを使った作業中に,右の下眼瞼に約1 mmの鉄片が刺さり,除去されたとの経緯が判明した。頭部CTで右の眼内に異物があった。手術で長径5 mmの鉄片を摘出した。

結論:長期間滞留した眼内異物が,片眼性の夜盲,視野狭窄,網膜電図の減弱の原因になりうることを本症例は示している。

参考文献

1)野口三太朗・渡邊 亮・布施昇男・他:眼球鉄錆症による続発緑内障の1例.あたらしい眼科29:419-423,2012
2)小林加寿子・近藤峰生・伊藤逸毅・他:鉄片が眼内に飛入したまま1年間経過した症例の網膜機能と形態.眼臨紀6:269-273,2013
3)田原昭彦:眼鉄錆症における鉄成分の局在と細胞障害に関する組織学的研究.臨眼37:321-324,1983
4)内野 允・平田 肇:眼球鉄錆症の治療.眼紀29:103-109,1978
5)及川哲平・高橋嘉晴・河合憲司:受傷1年以上経過後に摘出した7mmの眼内鉄片異物の1例.臨眼63:1495-1497,2009
6)渡辺抄子・吉田憲史・鍋島隆司・他:長期に存在したと思われる眼内鉄片異物の摘出後も黄斑部の変化が進行した1例.眼紀50:791-796,1999
7)大内雅之・池田恒彦:硝子体手術中に眼内異物が発見された網膜剝離の3例.あたらしい眼科17:1151-1154,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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