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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻4号

2016年04月発行

文献概要

特集 第69回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著

眼内金属片による角膜鉄錆症の術前後の評価にScheimpflug画像が有用であった1例

著者: 髙田幸尚1 宮本武1 森井智也1 雑賀司珠也1

所属機関: 1和歌山県立医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.573 - P.577

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要約 目的:眼内の金属片の摘出術を行った角膜鉄錆症で角膜混濁の定量的評価に用いるScheimpflug画像のdensity解析(以下,SD)が術前後の評価に有用であった1例を報告する。

対象と方法:57歳,男性。2012年,右眼に金属片による角膜裂傷に対して他院で角膜縫合を受けた。2014年9月より右眼痛を自覚し,9月下旬に和歌山県立医科大学眼科を受診した。角膜赤褐色混濁と眼窩CTで眼内金属片滞留を認め,眼球鉄錆症,角膜鉄錆症と診断し,金属片の摘出術を行い,術前後の角膜混濁の評価にSDを用いた。

結果:術前角膜のSDは右眼94.4であったが,術後角膜混濁は改善し術後6か月後に43.1に改善した。

結論:眼内の金属片を摘出することで角膜鉄錆症とSDは改善し,角膜混濁の評価にSDは有用であった。

参考文献

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9)川守田拓志・魚里 博:前眼部画像解析装置(ペンタカムなど).臨眼65:91-100,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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