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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻5号

2016年05月発行

文献概要

特集 第69回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

眼窩底骨折整復術後に僚眼の下斜筋過動を呈した1例

著者: 横山弘1 木村亜紀子1 一色佳彦1 増田明子1 三村治1

所属機関: 1兵庫医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.719 - P.723

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要約 目的:眼窩底骨折整復後に最も顕著な眼球運動障害が僚眼の下斜筋過動症であった症例を報告する。

症例:41歳男性。左眼窩底骨折のため,計2回の左眼窩底骨折整復術を受けた。その後,徐々に正面視で上下・回旋複視が出現し,右眼の眼位異常も顕著となり,受傷から10か月後に当科を受診した。眼位は右上斜視で,眼球運動では左方視で右眼の下斜筋過動症を高度に認めた。左眼の斜視手術に加え,右眼の下斜筋減弱術を施行し,術後,正面視での複視は消失し,右眼の下斜筋過動症もほぼ消失した。

結論:右眼に認められた左方視での下斜筋過動症は左眼の下直筋拘縮に伴うものであり,両眼視改善には患眼への斜視手術だけでなく僚眼の下斜筋減弱術が有効であった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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