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文献概要
連載 蛍光眼底造影クリニカルカンファレンス・第7回
糖尿病網膜症
著者: 長谷川泰司1
所属機関: 1東京女子医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.1028 - P.1035
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糖尿病網膜症(diabetic retinopathy:DR)は微小血管障害が主な病態であり,①網膜毛細血管の破綻,透過性亢進による網膜出血や網膜浮腫,②毛細血管瘤形成,③網膜毛細血管閉塞による無灌流領域の形成,④網膜虚血による血管新生,などがみられる。血管透過性亢進による糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)はDRのいずれの病期にも合併し,視力低下の原因となる難治な病態である(次号第8回参照)。
無灌流領域が広範に及ぶと,網膜虚血によって発現される血管内皮増殖因子の眼内濃度が上昇1,2)し新生血管が発生する。その結果,硝子体出血や牽引性網膜剝離,血管新生緑内障を生じ視機能を著しく低下させる。フルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography:FA)は,これらの微細な血管変化を描出することが可能であり,微小血管症としてのDRの病態把握に非常に大きな役割を果たす。血管新生という増殖性変化が悪化する前に汎網膜光凝固を行い,病状の悪化を防ぐのがDRをコントロールするうえで重要である。そのためにはFA画像を正しく評価することが大切となる。DRにはさまざまな重症度分類が存在するが,本稿ではAmerican Academy of Ophthalmologyにより提唱されたDiabetic Retinopathy Disease Severity Scale3)(表1)をもとに解説する。
糖尿病網膜症(diabetic retinopathy:DR)は微小血管障害が主な病態であり,①網膜毛細血管の破綻,透過性亢進による網膜出血や網膜浮腫,②毛細血管瘤形成,③網膜毛細血管閉塞による無灌流領域の形成,④網膜虚血による血管新生,などがみられる。血管透過性亢進による糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)はDRのいずれの病期にも合併し,視力低下の原因となる難治な病態である(次号第8回参照)。
無灌流領域が広範に及ぶと,網膜虚血によって発現される血管内皮増殖因子の眼内濃度が上昇1,2)し新生血管が発生する。その結果,硝子体出血や牽引性網膜剝離,血管新生緑内障を生じ視機能を著しく低下させる。フルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography:FA)は,これらの微細な血管変化を描出することが可能であり,微小血管症としてのDRの病態把握に非常に大きな役割を果たす。血管新生という増殖性変化が悪化する前に汎網膜光凝固を行い,病状の悪化を防ぐのがDRをコントロールするうえで重要である。そのためにはFA画像を正しく評価することが大切となる。DRにはさまざまな重症度分類が存在するが,本稿ではAmerican Academy of Ophthalmologyにより提唱されたDiabetic Retinopathy Disease Severity Scale3)(表1)をもとに解説する。
参考文献
1)Adamis AP, Miller JW, Bernal MT et al:Increased vascular endothelial growth factor levels in the vitreous of eyes with proliferative diabetic retinopathy. Am J Ophthalmol 118:445-450, 1994
2)Aiello LP, Avery RL, Arrigg PG et al:Vascular endothelial growth factor in ocular fluid of patients with diabetic retinopathy and other retinal disorders. N Engl J Med 331:1480-1487, 1994
3)Wilkinson CP, Ferris FL 3rd, Klein RE et al:Proposed international clinical diabetic retinopathy and diabetic macular edema disease severity scales. Ophthalmology 110:1677-1682, 2003
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