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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻7号

2016年07月発行

文献概要

臨床報告

劇症型の猫ひっかき病の1例

著者: 坪田智子1 海老原伸行1

所属機関: 1順天堂大学医学部附属浦安病院眼科

ページ範囲:P.1059 - P.1064

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要約 目的:劇症型の猫ひっかき病の1例の報告。

症例:51歳の男性が数週間前からの右眼の視力低下で受診した。矯正視力は右0.7,左1.2で,右眼の眼底に乳頭の発赤と浮腫があり,光干渉断層計で乳頭から黄斑にかけての網膜剝離があった。4日後に乳頭浮腫と黄斑部の網膜剝離が増悪した。問診で,2か月前に野良猫に引っ搔かれたことと,2週間前に子猫のノミに咬まれたことが判明した。手と前腕部に水疱があり,38.5℃の発熱があった。初診の1週間後に右眼視力は0.03になり,20日後にBartonella IgGとIgM抗体が上昇していることが判明した。猫ひっかき病と診断し,テトラサイクリンの内服を開始した。黄斑部の萎縮が生じ,視力は0.2にとどまった。

結論:猫ひっかき病は自然治癒の傾向があり,視力予後が良好とされているが,本症例は劇症型で視力障害が残った。

参考文献

1)川野庸一:猫ひっかき病.園田康平,後藤 浩(編):所見から考えるぶどう膜炎.232-236,医学書院,東京,2013
2)Cunningham ET, Koehler JE:Ocular bartonellosis. Am J Ophthalmol 130:340-349, 2000
3)堀田芙美香・江口 洋:猫ひっかき病.薄井紀夫,後藤 浩 編:眼感染症マニュアル.152-155,医学書院,東京,2014
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5)田口千香子・青木 剛・山川良治・他:視神経網膜炎を伴った猫ひっかき病,あたらしい眼科29:244-248,2012
6)Chi SL, Stinnet S, Eggenberger E et al:Clinical characteristics in 53 patients with cat scratch optic neuro pathy. Ophthalmology 119:183-187, 2012
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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