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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻7号

2016年07月発行

文献概要

特集 第69回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著

穿孔性眼外傷後の線維組織形成を伴った外傷性白内障手術の1例

著者: 岡田怜奈1 山本学1 河野剛也1 白木邦彦1

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科視覚病態学

ページ範囲:P.1083 - P.1087

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要約 目的:穿孔性眼外傷後の線維組織形成により白内障手術の難度が高くなった1症例の報告。

症例:45歳男性が,8歳時に鉛筆の芯により左眼に穿孔性外傷が生じた。数年前から左眼の視力低下で,外傷性白内障として紹介受診した。

所見と経過:矯正視力は右1.5,左30cm/指数弁で,左眼角膜の鼻下側に混濁があり,その後部に虹彩欠損と水晶体混濁があった。1か月後の水晶体再建術中に,角膜穿孔創から水晶体囊に至る線維性の組織形成があった。眼内レンズ支持部の片方を線維組織の上にかかるように囊外に固定した。以後眼内レンズの偏位はなく,術1年後の矯正視力1.0を維持している。

結論:本症例の外傷性白内障では,穿孔後の反応として線維組織増殖があり,白内障手術の際に格別の配慮が必要であった。

参考文献

1)林 研:外傷性白内障.臨眼58:208-211,2004
2)守屋豪志・鈴木浩之・家久來啓吾・他:外傷性白内障が進行しなかった水晶体前囊損傷の1例.臨眼66:1655-1668,2012
3)Neumann GOH, Apple DJ:Pathology of the Eye. 239-240. Springer-Verlag, New York, 1986
4)Fagerholm PP:The response of the lens to trauma. Trans Ophthalmol Soc U K 102:369-374, 1982
5)緒方睦代:実験的ラット眼外傷白内障の研究.山口医学39:433-441,1990
6)Fagerholm PP, Philipson BT:Experimental traumatic cataract. Ⅱ. A transmission electron microscopy and extracellular tracer study. Invest Ophthalmol Vis Sci 18:1160-1171, 1979
7)宇賀茂三・西本浩之:外傷に対する水晶体上皮細胞の反応.水晶体囊の創傷治癒を中心にして.眼科手術3:227-235,1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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