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特集 第69回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
エルロチニブ内服が誘因と考えられる網膜症の1症例
著者: 曽根雄一郎1 堀井崇弘1 櫻井美晴1 井上志帆1 井上亮1
所属機関: 1静岡市立静岡病院眼科
ページ範囲:P.1123 - P.1128
文献購入ページに移動目的:肺腺癌に対するエルロチニブの内服中に網膜症が生じた1例の報告。
症例:64歳男性が両眼のかすみで受診した。4年前に肺腺癌で手術を受け,その1年後に脳転移が生じ,4日に1回のエルロチニブ150mgの内服を開始した。
所見と経過:矯正視力は右1.0,左1.2で,両眼の眼底に多数の硬性白斑と網膜出血があり,右眼に網膜浮腫と漿液性剝離があった。その所見は糖尿病網膜症に類似していた。エルロチニブを7日に1回へ減量し,右眼の網膜剝離は消失した。1年後に左眼に漿液性網膜剝離が生じた。エルロチニブの内服を中止し,3か月後に網膜剝離は消失した。
結論:エルロチニブの内服で糖尿病網膜症に類似する網膜症が発症した可能性がある。
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