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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻7号

2016年07月発行

文献概要

特集 第69回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著

全身浮腫による体重増減と並行した漿液性網膜剝離を繰り返したネフローゼ症候群の1例

著者: 権田恭広1 松本直1 柴友明1 堀裕一1

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院眼科

ページ範囲:P.1129 - P.1134

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要約 目的:漿液性網膜剝離を呈したネフローゼ症候群の症例報告。

症例:59歳男性が左眼の視力低下で受診した。1年前にネフローゼ症候群と診断されていた。全身浮腫のため体重が10kg増加していた。

所見と経過:矯正視力は右1.2,左0.6であった。左眼黄斑部に漿液性網膜剝離を認めた。利尿薬投与とステロイドパルス治療の後,体重減少と同期して網膜剝離は改善し,1週間後の左矯正視力は1.2であった。その後,漿液性網膜剝離は18か月の間で2回再発し,全身的治療(塩分制限や透析導入)と体重減少の後に速やかに改善した。

結論:ネフローゼ症候群による漿液性網膜剝離は体重増減と同期していた。

参考文献

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2)北口善之・斉藤喜博・中江一人・他:両眼に胞状網膜剝離をきたした腎性網膜症の1例.臨眼59:1119-1123,2005
3)池田宏一郎・岡田由理子・岩渕薫子・他:高度の胞状網膜剝離を来した腎不全の1例.眼紀47:707-710,1996
4)前田祥恵・小栗直美・春原伸行・他:ネフローゼ症候群に合併した漿液性網膜剝離の1例.苫小牧市立病院医誌14:9-13,2000
5)渡瀬誠良・山本一博・岩渕薫子・他:腎不全を伴った糖尿病黄斑症に対し,アルブミン点滴静注が著効したと思われる2例.眼紀47:1426-1430,1996
6)石羽澤明弘・長岡泰司・横田陽匡・他:腎移植または血液透析導入を契機に糖尿病黄斑浮腫が改善した5症例.あたらしい眼科32:279-285,2015
7)宮部靖子・三澤和史・種田紳二・他:糖尿病腎症悪化による体重増減に並行して糖尿病黄斑浮腫の増減をみた症例.眼紀58:361-368,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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