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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻7号

2016年07月発行

文献概要

特集 第69回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著

原因不明の両視神経炎に対して血漿交換が有効であった1例

著者: 永田祐衣1 古森美和1 立花信貴1 澤田麻友1 毛塚剛司2 田中惠子3 堀田喜裕1

所属機関: 1浜松医科大学眼科学講座 2東京医科大学臨床医学系眼科学分野 3金沢医科大学総合医学研究所生命科学研究領域神経内科学

ページ範囲:P.1151 - P.1157

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要約 目的:原因不明の両眼の視神経炎に対して血漿交換療法が奏効した症例の報告。

症例:54歳女性が左眼の球後視神経炎を発症し,3日後に受診した。左眼視力は0.01であった。副腎皮質ステロイドのパルス療法が行われたが,光覚なしになった。その3か月後に右眼の視神経炎が発症した。左眼の経過からステロイド抵抗性であったので,血漿交換療法を行った。一過性の効果があったが,2週間後に再発し,光覚なしになった。再発の7週間後に開始した再度の血漿交換療法で,視力は1.0に改善した。以後プレドニゾロンと免疫抑制剤の内服を併用し,1年後の現在まで,良好な右眼視力を維持している。経過中に複数回行った抗AQP4抗体と抗MOG抗体は陰性であった。

結論:原因が特定できず,ステロイドに抵抗性のある視神経炎に,早期の血漿交換療法が奏効した。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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