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連載 蛍光眼底造影クリニカルカンファレンス・第8回
糖尿病黄斑浮腫
著者: 小嶋健太郎1 古泉英貴2
所属機関: 1京都府立医科大学眼科学教室 2東京女子医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.1200 - P.1210
文献購入ページに移動糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)は糖尿病網膜症のどの病期においても発症しうる病態であり1),視力低下の主な原因である2)。DMEの分類としては前号と同様にAmerican Academy of Ophthalmologyにより提唱された眼底所見によるDiabetic Macular Edema Disease Severity Scale3)(表1)や,フルオレセイン蛍光造影(fluorescein angiography:FA)により局所浮腫とびまん性浮腫の2パターンに分類するもの4)がある。
眼底所見による重症度分類では浮腫の黄斑に対する位置関係により区別される。浮腫の範囲が黄斑中央に近づくとともに重症度は増加する。一方でFAによる分類では主に病態により区別されており,局所浮腫では毛細血管瘤や透過性の亢進した血管からの漏出を主体とし,脂質を含む血漿成分が局所的に貯留し,典型例では毛細血管瘤を囲むように硬性白斑がリング状に配列する輪状網膜症(circinate retinopathy)を認める。FAでは輪状硬性白斑の中心に蛍光漏出を伴った毛細血管瘤がみられる。一方で,びまん性浮腫はFAで明らかな漏出源を認めないが,網膜血管床からのびまん性漏出が主体とされている。黄斑全体に浮腫が及び,典型例では囊胞様黄斑浮腫(cystoid macular edema:CME)や漿液性網膜剝離(serous retinal detachment:SRD)を伴う。
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