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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻8号

2016年08月発行

文献概要

特集 第69回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著

5歳以下発症の小児重症筋無力症の4症例

著者: 松尾純子1 菅澤淳1 西川優子1 戸成匡宏1 奥野高司2 奥英弘1 池田恒彦1 玉井浩3

所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室 2香里ヶ丘有恵会病院眼科 3大阪医科大学小児科学教室

ページ範囲:P.1245 - P.1249

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要約 目的:5歳以下で発症した重症筋無力症4例の報告。

症例:4例すべてが女児で,初診時の年齢はそれぞれ1歳2か月,1歳4か月,3歳2か月,5歳10か月であった。

所見と経過:4例すべてに日内変動を伴う眼瞼下垂があった。テンシロン試験が陽性で,重症筋無力症と診断した。全例がMGFA(Myasthenia Gravis Foundation of America)分類のClass Ⅰに相当する眼筋型であった。抗コリンエステラーゼ薬(メスチノン®)内服で治療を開始し,1例で寛解した。症状が改善しない他の3例ではステロイド薬とタクロリムスの全身投与で寛解した。片眼の眼瞼下垂が4か月間続いた1例では,弱視が生じた。

結論:小児の変動する眼瞼下垂または斜視では,重症筋無力症の可能性がある。片眼の眼瞼下垂が持続すると,廃用性弱視になる危険がある。

参考文献

1)野村芳子:小児重症筋無力症.Clin Neurosci 26:986-989,2008
2)Kim J-H, Hwang JM, Hwang YS et al:Childhood ocular myasthenia gravis. Ophthalmology 110:1458-1462, 2003
3)平山宗宏・杉下知子:重症筋無力症の疫学的研究.厚生省重症筋無力症研究班 昭和48年度研究報告書:50-66,1974
4)Murai H, Yamashita N, Watanabe M et al:Characteristics of myasthenia gravis according to onset-age:Japanese nationwide survey. J Neurol Sci 305:97-102, 2011
5)Matsuki K, Juji T, Tokunaga K et al:HLA antigens in Japanese patients with myasthenia gravis. J Clin Invest 86:392-399, 1990
6)Nomura Y, Hachimori K, Nagao Y et al:Childhood myasthenia gravis in Japan:clinical analysis of 184 cases at Segawa Neurological Clinic for Children for 30 years. Neuro-Ophthalmology 31:201-205, 2007
7)Shinomiya N, Nomura Y, Segawa M:A variant of childhood-onset myasthenia gravis:HLA typing and clinical characteristics in Japan. Clin Immunol 110:154-158, 2004
8)日本神経学会:「重症筋無力症診療ガイドライン」作成委員会:重症筋無力症診療ガイドライン2014.南江堂,東京,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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