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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻8号

2016年08月発行

文献概要

特集 第69回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著

特発性アルドステロン症に併発した中心性漿液性脈絡網膜症に対する抗アルドステロン薬エプレレノンによる治療効果

著者: 松本文也1 緒方正史1 平田悠樹1 鈴木崇弘1 鈴木康之1 河合憲司1

所属機関: 1東海大学医学部専門診療学系眼科学

ページ範囲:P.1299 - P.1303

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要約 目的:特発性アルドステロン症に対するエプレレノン投与で中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)が軽快した症例の報告。

症例:64歳の男性が右眼のCSCとして当院に紹介され受診した。15年前に左眼のCSCと診断され,再発を繰り返していた。14年前に高血圧と診断され,加療中であった。

所見と経過:矯正視力は右0.8,左0.3で,両眼にCSCの所見があった。腹部CTで左側の副腎腫瘤があった。血液の検査所見から原発性アルドステロン症が疑われ,精査の結果,アルドステロンが両側の副腎から分泌され,左側のコルチゾール産生腺腫(無症候性Cushing症候群)と診断された。高血圧に対し,選択的アルドステロン拮抗薬であるエプレレノンの経口投与を開始した。投薬開始から3週後,右眼のCSCは著明に改善し,左眼のCSCも軽快した。以後4か月間,CSCの再発はない。

結論:エプレレノンの経口投与で,特発性アルドステロン症に併発したCSCが軽快した。

参考文献

1)喜多美穂里:中心性漿液性脈絡網膜症の病態と治療—網膜下液の貯留と吸収.臨眼67:121-126,2013
2)本田 茂:中心性漿液性脈絡網膜症の病態と治療—関連因子からみた病態.臨眼67:156-159,2013
3)後藤 聡・五味 文:中心性漿液性脈絡網膜症の病態と治療—最近の治療方針.臨眼67:160-164,2013
4)Daruich A, Matet A, Dirani A et al:Central serous chorioretinopathy:Recent findings and new physiopathology hypothesis. Prog Retin Eye Res 48:82-118, 2015
5)Bousquet E, Zhao M, Ly A et al:The aldosterone-mineralocorticoid receptor pathway exerts anti-inflammatory effects in endotoxin-induced uveitis. PLoS One 7:e49036, 2013
6)Zhao M, Celerier I, Bousquet E et al:Mineralocorticoid receptor is involved in rat and human ocular chorioretinopathy. J Clin Invest 122:2672-2679, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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