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特集 第69回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著
激痛を伴いマイラゲル®の合併症と鑑別を要した転移性眼窩腫瘍の1例
著者: 赤岩慶1 四宮加容1 大串陽子1 影治照喜2 阿部彰子3 三田村佳典1
所属機関: 1徳島大学大学院医歯薬研究部眼科学分野 2徳島大学大学院医歯薬研究部脳神経外科学分野 3徳島大学大学院医歯薬研究部産婦人科学分野
ページ範囲:P.1319 - P.1324
文献購入ページに移動症例:63歳の女性が右眼の眼痛で紹介受診した。15年前に網膜剝離に対するマイラゲル®強膜スポンジによる手術が両眼に行われた。2か月前に子宮頸癌が発見され,化学療法と放射線照射を受けている。
所見と経過:矯正視力は右0.8,左1.2で,両眼にほぼ−4Dの近視があった。バックルによる眼底の隆起が両眼にあり,結膜下のバックルが透見または触知された。右眼の眼球運動が制限され,外転時に疼痛が増強した。マイラゲル®による合併症が疑われたが,4日後に眼痛が増悪した。MRIで右眼の内直筋に腫瘤があったが,マイラゲル®の膨化が疼痛の原因と考えて除去した。その8日後に眼窩内腫瘍が増大し,これを摘出した。病理学的に子宮頸癌の内直筋転移と診断された。その後全身への転移が多発し,2か月後に不帰の転帰をとった。
結論:転移性眼窩腫瘍が疼痛を伴うことは少ないが,本症例では腫瘍の急速な増大が激痛の原因になったと推定される。
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