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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻9号

2016年09月発行

文献概要

特集 第69回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著

鼻涙管閉塞に対する涙道内視鏡下涙管チューブ挿入術の治療成績と術前培養菌種の検討

著者: 鎌尾知行1 白石敦1 高橋直巳1 山下有香1 大橋裕一1

所属機関: 1愛媛大学大学院医学系研究科眼科学

ページ範囲:P.1413 - P.1418

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要約 目的:鼻涙管閉塞に対する涙道内視鏡下涙管チューブ挿入術の治療成績に対する術前分離菌の関与の検討。

対象と方法:2010年11月〜2014年9月に涙道内視鏡下涙管チューブ挿入術を施行し,術前涙囊分泌物を培養し,かつ涙管チューブ抜去後6か月以上経過観察できた64例74側を対象とし,菌種ごとの再発率を分離の有無で比較検討した。

結果:術後経過観察期間は10.8±9.3か月,術後再発は16側(21.6%),菌分離は58側(78.4%)に認めた。分離菌種数における再発率は,菌分離なし群12.5%,1種分離群7.7%,2種以上分離群37.5%と3群間で有意差を認めた(p=0.0141)。各菌種の分離群と非分離群で再発率を検討すると,Streptococcus anginosus groupにおいて分離群が非分離群より有意に再発率が高かった(p=0.0192)。

結論:涙囊炎起因菌種と分離菌種数により,涙管チューブ挿入術後成績が異なる可能性がある。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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