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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻1号

2017年01月発行

文献概要

臨床報告

深部強膜切除術変法を併用した線維柱帯切開術の術後短期成績

著者: 高橋耕介12 細川満人1 蔵増亜希子1

所属機関: 1鳥取市立病院眼科 2岡山大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.109 - P.113

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要約 目的:深部強膜切除術変法を併用した線維柱帯切開術(LOT+DS変法)の術後短期成績を報告する。

対象と方法:2011年1月〜2014年2月の間に鳥取市立病院を受診した原発開放隅角緑内障患者のうち,LOT+DS変法を施行し,術後1年以上経過を観察した62例87眼を対象とした。術前と術1年後の眼圧と投薬スコアを後ろ向きに評価した。

結果:全症例の平均眼圧は術前19.4±4.8mmHg,術1年後13.9±5.9mmHgで有意に下降した(p<0.0001)。投薬スコアの平均は術前2.0±0.9,術1年後1.8±0.9であった(p<0.05)。カプラン・マイヤー生命表法を用いた術1年後の18mmHg,15mmHg,12mmHg以下の生存確率はそれぞれ0.93,0.76,0.28であった。

結論:LOT+DS変法は少なくとも術後1年間は高い眼圧下降作用が得られ,有用な術式である可能性がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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