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連載 蛍光眼底造影クリニカルカンファレンス・第20回
眼虚血症候群と高安病
著者: 大口泰治1
所属機関: 1福島県立医科大学眼科学講座
ページ範囲:P.1496 - P.1501
文献購入ページに移動眼虚血症候群と高安病は,いずれも眼動脈での血流量低下により生じるため,網膜中心動脈閉塞症と異なり脈絡膜循環も同時に障害されることが特徴である。その本態はいずれも慢性虚血による変化である。虚血が慢性化することで,網膜動脈の血管内皮障害や網膜血管関門のバリア機能の破綻が生じる1)。
眼虚血症候群は,年齢とともに生じる粥状動脈硬化症による内頸動脈の狭窄・閉塞により引き起こされる疾患で,80%は片眼性である2)。その要因は高血圧症・高脂血症・糖尿病などで,65歳前後の男性に好発するとされている3)。一方,高安病の発症機序は不明である。血管炎の分類に用いられるChapel Hill分類4)で巨細胞性動脈炎とならび大型血管炎に分類されているが,あらゆるサイズの動脈が影響を受け,両眼性に変化を生じる。その9割は女性で,15〜35歳の若い女性に発症することが多いとされているが,内科的な治療が進んだ現在進行した病変をみる機会は少ない。
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