文献詳細
特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[8]
原著
結膜縫合糸を利用した新しい小切開斜視手術—結膜タッセル法
著者: 柴田貴世1 濵﨑一郎1 清水壯洋2 森澤伸3 古瀬尚3 長谷部聡3 大月洋2 白神史雄1
所属機関: 1岡山大学病院眼科 2岡山済生会総合病院眼科 3川崎医科大学附属病院眼科
ページ範囲:P.1519 - P.1525
文献概要
対象と方法:結膜タッセル法とは,手術筋付着部近傍の結膜を円蓋部に向かって放射状に切開を1か所くわえ,切開部より通糸した制御糸で手術筋を覆う結膜とテノン囊を一塊として束ね術創を拡げ,制御糸を開瞼器の縁に固定することで術野を確保する方法である。水平斜視に対しての前後転術に行った結膜タッセル法と輪部コの字結膜切開(以下,輪部切開)の手術操作性と術後の創傷の状態を比較し,評価した。
結果:結膜タッセル法は輪部切開と同等の術野を確保することができ,また輪部切開に比し手術時間の短縮が得られ,術後創部の瘢痕が小さく眼瞼下に創部が隠れるので整容的に優れ,自覚する疼痛も少なかった。
結論:結膜タッセル法は,小切開法の整容面の利点をもち,かつ輪部切開と同等の術野が確保できる。難易度の高い操作や特別な器具も必要としない有用な手術法である。
参考文献
掲載誌情報