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特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著
細菌感染と免疫機序が関与したと考えられる壊死性強膜炎の1例
著者: 山口沙織1 白井正一郎1 榊原由美子1 水野友広1 波多野岳志1 西原裕晶2
所属機関: 1豊橋市民病院眼科 2にしはら眼科クリニック
ページ範囲:P.1615 - P.1619
文献購入ページに移動症例:75歳の男性が2週間前から次第に増悪する右眼の眼痛と視力低下で受診した。10年前に右眼に翼状片手術を受けていた。
所見と経過:矯正視力は右0.6,左0.9で,右眼に翼状片手術によると推定される癒痕と石灰化があった。球結膜充血と毛様充血があり,前房に炎症の所見があった。初診時に採取した眼脂から6日後に緑膿菌が検出され,抗菌薬の全身投与などで前眼部の炎症は軽快した。第14病日に右眼4時方向の強膜が融解し,プレドニゾロン内服を追加した。強膜所見は改善した。プレドニゾロンを減量し,抗菌薬を中止すると炎症が増悪した。タクロリムス点眼,プレドニゾロンの増量,抗菌薬の静注で消炎し,15か月後まで安定している。
結論:翼状片手術の既往がある壊死性強膜炎の治療に,抗菌薬と免疫抑制薬が奏効した。
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