文献詳細
臨床報告
糖尿病患者の眼科受診のアドヒアランス — 緑内障患者との比較
著者: 小林博1 濱﨑曉子2
所属機関: 1国立病院機構関門医療センター眼科 2国立病院機構関門医療センター生活習慣病センター
ページ範囲:P.1881 - P.1887
文献概要
対象と方法:2013年1月までの4年間に当院を受診し,次回診察を予約した糖尿病患者344名と,緑内障または高眼圧患者491名を対象とし,24か月間の受診率を調査した。糖尿病患者群は男性189名,女性155名であり,緑内障患者群は男性217名,女性274名であった。平均年齢は,糖尿病患者群が65.6±11.2歳,緑内障患者群が71.1±11.1歳であった。受診のたびに経過観察と治療の必要性を説明し,糖尿病眼手帳または緑内障手帳を手渡した。
結果:脱落患者は,糖尿病患者群では49名(14.3%)であり,緑内障患者群の29名(6.0%)と比較して有意に多かった(p<0.0001)。糖尿病患者群では,脱落患者は脱落しなかった患者と比較して有意に若年であり,視力が良好であった(いずれもp<0.0001)。脱落患者では16名(32.7%)に網膜症があり,脱落しなかった患者では148名(50.1%)に網膜症があり,脱落患者が有意に少数であった(p<0.0001)。脱落患者では32名(65.3%)が2回目の診察を受診せず,26名(53.1%)に以前に糖尿病治療の中断歴があり,脱落しなかった53名(18.0%)よりも有意に高率であった(p<0.001)。
結論:糖尿病患者の受診のアドヒアランスは,緑内障患者よりも有意に不良であった。自覚症状が乏しい患者が脱落しやすく,経過観察と治療の重要性を十分に説明する必要があると思われた。
参考文献
掲載誌情報