文献詳細
臨床報告
強膜バックル感染既往患者に発症した周辺部角膜浸潤の1例
著者: 吉岡万紀子12 勝村浩三13 田尻健介1 吉川大和1 向井規子14 清水一弘15 池田恒彦1
所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室 2河内総合病院眼科 3勝村眼科 4奈良友紘会病院眼科 5高槻病院眼科
ページ範囲:P.235 - P.239
文献概要
症例:75歳の女性が左眼の充血,疼痛,視力低下で受診した。19年前に左眼の裂孔原性網膜剝離に対し,シリコーンスポンジとシリコーンバンドの縫着が行われ,復位が得られた。18か月前に子午線方向に縫着したシリコーンスポンジが結膜上に露出した。シリコーンバンドの除去後に,感染と推定される炎症がシリコーンスポンジの周囲に生じ,これを抜去した。
所見と経過:矯正視力は右0.6,左0.2で,左眼に強膜炎と,下方240°に血管侵入を伴う周辺部角膜浸潤があった。上皮欠損はなく,前房蓄膿があった。抗菌薬の点眼と全身投与で角膜と強膜の所見は寛解し,8日後に治癒した。視力は0.6に改善した。
結論:周辺部角膜浸潤と前房内炎症の原因として,ブドウ球菌に対するアレルギー反応や自己免疫反応よりは,バックルの除去後に潜伏していた感染巣の再燃が考えられる。本症例は抗菌薬の投与で治癒した。
参考文献
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