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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻2号

2017年02月発行

文献概要

臨床報告

リハビリ後に回復,代償機能を得た半側空間無視の2例

著者: 田中智章1 今岡慎弥2 松浦一貴12 佐々木慎一1 寺坂祐樹2 井上幸次1

所属機関: 1鳥取大学医学部視覚病態学 2野島病院眼科

ページ範囲:P.241 - P.246

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要約 背景:半側空間無視は視覚にかかわる病態であるが,眼科医が診断と治療にあたる機会は少ない。半側空間無視でしばしば検出される同名半盲様視野には,経過中に回復し,代償が生じることがある。

目的:半側空間無視の代償期に同名半盲様視野が回復し,代償機能を得た2症例の報告。

症例:1例は77歳男性で,右側頭葉から頭頂葉にかけて脳出血が生じた。他の1例は78歳女性で,右後頭葉に脳出血が生じた。

所見と経過:両症例とも線分二等分試験と時計描写試験は半側空間無視のパターンを呈し,左右眼に類似性がない同名半盲が検出された。いずれも2か月後に正常化した。

結論:半側空間無視は,慢性期に入っても改善することがある。左側の同名半盲が回復傾向を示す症例の中には,後頭葉視覚野の障害による典型的な同名半盲ではなく,半側空間無視によるものが混在している可能性がある。

参考文献

1)石合純夫:失われた空間.半側空間無視の世界.15-25,医学書院,東京,2009
2)石合純夫.半側空間無視の代償と回復.失語症研究16:134-142,1996
3)Duke-Elder S:System of Ophthalmology. vol 12. 425-426 Neuro-Ophthalmology. Henry Kimpton, London, 1971
4)Walker R, Findlay JM, Young et al:J. Disentangling neglect and hemoanopia. Neuropsychologia 29:1019-1027, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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