文献詳細
臨床報告
春季カタルにおけるタクロリムス点眼薬の長期使用成績
著者: 品川真有子1 南場研一1 北市伸義2 石田晋1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科医学専攻感覚器病学講座眼科学分野 2北海道医療大学個体差医療科学センター眼科学系
ページ範囲:P.343 - P.348
文献概要
対象と方法:1年以上タクロリムス点眼薬で加療した春季カタル16例30眼を対象とした。全例でシクロスポリン点眼薬がそれ以前に使用され,効果不十分であった。年齢は6〜19歳,平均15歳で,26眼が眼瞼型,4眼が眼瞼輪部混合型であった。14例にアトピー性皮膚炎,5例に喘息,3例にアレルギー性鼻炎の合併があった。9眼でステロイド点眼薬,8眼でステロイド内服薬を併用していた。
結果:春季カタルの他覚的所見は全例で改善した。タクロリムス点眼薬の回数は,多くの症例で当初の1日2回から1日1回になり,ステロイド点眼薬の併用は開始時30%から1年後10%,ステロイド内服薬の併用は開始時25%から1年後6%に減少した。タクロリムス点眼薬を1年以上使用した30眼中16眼で一過性の増悪があり,その多くは5月と7〜9月に生じた。1眼でタクロリムス点眼薬の使用開始から38か月後に上皮性単純ヘルペス角膜炎が発症し,加療により治癒した。
結論:シクロスポリン点眼薬が奏効しない春季カタルに対し,1年以上のタクロリムス点眼薬の使用で,他覚的所見と症状の改善がみられた。
参考文献
掲載誌情報