文献詳細
文献概要
特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著
先天無虹彩に伴う緑内障に対しバルベルト®緑内障インプラントが有効であった1例
著者: 山田香菜子1 上松聖典1 藤川亜月茶1 今村直樹1 池田章吾1 北岡隆1
所属機関: 1長崎大学病院眼科
ページ範囲:P.389 - P.394
文献購入ページに移動症例:生後20日の女児が無虹彩として紹介受診した。妊娠中に異常はなく,出生時の体重は2,106gであった。父親に先天無虹彩と緑内障があり,母方祖父に網膜色素変性があった。
所見と経過:全身麻酔下での眼圧は右10mmHg,左9mmHgで,両眼に虹彩の全欠損,水晶体の前囊と後囊下の混濁,乳頭の陥凹拡大があった。角膜径は両眼とも11mmで,眼軸長は右20.38mm,左20.33mmであった。2歳11か月に眼圧が左右とも30mmHgになり,複数の点眼治療を開始した。4歳から6歳までに両眼に線維柱帯切除術が3回行われた。6歳2か月のときに右眼圧が30mmHgに上昇し,BGI手術が行われた。手術3日目に低眼圧と脈絡膜剝離が生じたが,8日目にチューブを結紮し,以後18か月後の現在まで経過は良好である。
結論:先天無虹彩に伴う緑内障は難治であることが多い。線維柱帯切除術が奏効しない症例に対して,BGI手術は有効な選択肢の1つである。
参考文献
掲載誌情報