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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻3号

2017年03月発行

文献概要

特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著

先天無虹彩に伴う緑内障に対しバルベルト®緑内障インプラントが有効であった1例

著者: 山田香菜子1 上松聖典1 藤川亜月茶1 今村直樹1 池田章吾1 北岡隆1

所属機関: 1長崎大学病院眼科

ページ範囲:P.389 - P.394

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要約 目的:先天無虹彩に伴う緑内障に対し,バルベルト®緑内障インプラント(BGI)が有効であった症例の報告。

症例:生後20日の女児が無虹彩として紹介受診した。妊娠中に異常はなく,出生時の体重は2,106gであった。父親に先天無虹彩と緑内障があり,母方祖父に網膜色素変性があった。

所見と経過:全身麻酔下での眼圧は右10mmHg,左9mmHgで,両眼に虹彩の全欠損,水晶体の前囊と後囊下の混濁,乳頭の陥凹拡大があった。角膜径は両眼とも11mmで,眼軸長は右20.38mm,左20.33mmであった。2歳11か月に眼圧が左右とも30mmHgになり,複数の点眼治療を開始した。4歳から6歳までに両眼に線維柱帯切除術が3回行われた。6歳2か月のときに右眼圧が30mmHgに上昇し,BGI手術が行われた。手術3日目に低眼圧と脈絡膜剝離が生じたが,8日目にチューブを結紮し,以後18か月後の現在まで経過は良好である。

結論:先天無虹彩に伴う緑内障は難治であることが多い。線維柱帯切除術が奏効しない症例に対して,BGI手術は有効な選択肢の1つである。

参考文献

1)原田陽介・望月英毅・高松倫也・他:発達緑内障における線維柱帯切開術の手術成績.眼科手術23:469-472,2010
2)Tanimoto SA, Brandt JD:Options in pediatric glaucoma after angle surgery has failed. Curr Opin Ophthalmol 17:132-137, 2006
3)Rolim de Moura C, Fraser-Bell S, Stout A et al:Experience with the Baerveldt glaucoma implant in the management of pediatric glaucoma. Am J Ophthalmol 139:847-854, 2005
4)Tai AX, Song JC:Surgical outcomes of Baerveldt implants in pediatric glaucoma patients. J AAPOS 18:550-553, 2014
5)緑内障診療ガイドライン(第3版)補遺:緑内障チューブシャント手術に関するガイドライン.日眼会誌116:388-393,2012
6)小林 賢・木内良明:小児の緑内障に対するチューブシャント手術.眼科手術27:553-557,2014
7)千原悦夫:チューブシャント手術のコツ(1).眼科手術27:72-75,2014
8)濱中輝彦:チューブシャント手術のコツ(2).眼科手術27:76-79,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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