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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻3号

2017年03月発行

文献概要

特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著

内視鏡下副鼻腔手術により視力改善を認めた鼻性視神経炎の1例

著者: 倉持雄一1 上本理世1 脇屋匡樹1 野村直子1 飯島康仁1 壺内鉄郎1 水木信久1

所属機関: 1横浜市立大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.421 - P.425

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要約 目的:副鼻腔炎による鼻性視神経炎を発症し,手術により治癒した症例の報告。

症例:6歳女児が,4日前からの左眼痛,圧痛,眼球運動に伴う疼痛,左眼視力障害で紹介受診した。2年前から慢性副鼻腔炎として加療中であった。

所見と経過:矯正視力は右1.5,左0.03で,左眼に乳頭の発赤腫脹があった。左眼に中心暗点と鼻側の視野欠損があった。MRIで左側の蝶形骨洞と後篩骨洞に粘膜の肥厚があった。副鼻腔炎による鼻性視神経炎と診断し,内視鏡による副鼻腔手術を行い,蝶形骨洞と後篩骨洞を開通させ,プレドニゾロンを全身投与した。視力は1.5に改善し,眼底所見は正常化し,視野欠損は消失した。

結論:慢性副鼻腔炎によると推定される視神経炎に,副鼻腔炎手術が奏効した。

参考文献

1)平井大士・伊藤忠彦・松田武文・他:急激な視力低下で発症した鼻性視神経症の1例.小児科臨床62:1915-1917,2009
2)石田 晋・平形寿孝・安藤靖恭・他:MRIで診断のついた鼻性視神経炎の1例.眼科34:583-587,1992
3)鈴木宣民・忍定正之・黒田紀子:鼻性球後視神経炎の診断について.臨眼26:1149-1153,1972
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5)目取真興道・新垣里子:急激に光覚を失った鼻性視神経症の1例 あたらしい眼科24:253-255,2007
6)工藤貴之・大島猛史・吉田征之:鼻性視神経症の3例.耳鼻と臨床54:15-22,2008
7)藤谷敦子・渋谷勇三・児玉達夫・他:島根医大眼科における鼻性視神経症例の検討.眼臨医報91:868-870,1997
8)香川 彩・秦 聡・三河洋一・他:著明な視力改善を見た鼻性視神経症の1例.眼臨医報96:129-131,2002
9)海野茂樹・横田陽匡・野村研一郎・他:発症から長期経過後に副鼻腔手術により視力改善が得られた鼻性視神経症の1例.臨眼69:1075-1079,2015
10)山本 光・飯田政弘:視力障害.鼻性視神経症.耳喉頭頸85:872-876,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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