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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻3号

2017年03月発行

文献概要

特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著

真菌感染を疑い早期治療により良好な経過を得た眼窩先端症候群の1例

著者: 村尾史子1 木下導代1 武田美佐1 松岡百百世2 佐藤健太3

所属機関: 1徳島県立中央病院眼科 2徳島県立中央病院耳鼻咽喉科 3徳島県立中央病院神経内科

ページ範囲:P.433 - P.438

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要約 目的:真菌感染が疑われた眼窩先端症候群に対し,抗真菌薬の投与と副鼻腔手術が奏効した1例の報告。

症例:75歳女性が2か月前からの左眼窩部痛と5日前からの頭痛,羞明,眼瞼下垂,複視で受診した。

所見と経過:視力は右1.2,左0.8で,左眼に動眼神経麻痺の所見があった。MRIで眼窩先端部に異常所見はなく,CTで左上顎洞に真菌感染を示唆する所見があった。真菌性眼窩先端症候群を疑い,ボリコナゾールの点滴と副鼻腔手術を行った。副鼻腔貯留液からアスペルギルス糸状菌が検出された。2週後に複視と眼球運動障害が消失し,視力は0.9に改善した。以後5か月間再発はない。

結論:眼窩先端症候群では,初期の検査結果が陰性でも真菌感染の可能性がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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