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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻5号

2017年05月発行

文献概要

特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

虹彩病変から初めて乳癌の全身転移が判明した1例

著者: 野田拓志1 木下悠十1 寺田佳子1 原和之1 梶原友紀子2 大谷彰一郎2

所属機関: 1広島市立広島市民病院眼科 2広島市立広島市民病院乳腺外科

ページ範囲:P.693 - P.696

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要約 目的:虹彩病変から初めて乳癌の全身転移が判明した症例の報告。

症例:29歳女性が左眼痛を主訴に受診した。1年前に乳癌に対し乳房部分切除術と腋窩リンパ節郭清術を施行され,術後補助療法中であった。局所再発や遠隔転移は認めていなかった。

所見:矯正視力は左右とも1.2,眼圧は右12mmHg,左13mmHgであった。左眼虹彩に直径1〜3mmの半透明で淡白色の結節を4個認めた。PET-CTで多発転移を認め,虹彩結節も転移と推測された。結節の増大に伴い視力低下と眼圧上昇をきたし,電子線総量30Gyを照射した。腫瘍は縮小し視力は改善したが,初診から7か月後に死亡した。

結論:結節性虹彩病変を認めた際は,全身既往を詳細に確認することが重要である。

参考文献

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11)日本乳癌学会:乳癌診療ガイドライン1.治療編.298-305,金原出版,東京,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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