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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻5号

2017年05月発行

文献概要

特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

硝子体手術と術後の抗菌薬硝子体内注射が奏効したクレブシエラ肺炎桿菌による眼内炎

著者: 黒部彩那1 藤川亜月茶1 宮城清弦1 黒崎智加1 松本牧子1 梶山彩乃1 今村直樹1 北岡隆1

所属機関: 1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科眼科・視覚科学教室

ページ範囲:P.713 - P.717

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要約 目的:硝子体切除術および術後の抗菌薬硝子体内注射が奏効した内因性眼内炎の1例を経験したので報告する。

症例:肝膿瘍疑いのある69歳の男性で,左眼視力低下の主訴で当科を紹介受診した。左眼矯正視力は0.2であり,硝子体混濁および網膜下膿瘍を認め,肝膿瘍由来の内因性眼内炎が疑われた。翌日,眼内炎の増悪を認め,硝子体切除術を施行した。網膜下膿瘍の穿刺と排膿は行わず,水置換で手術を終了した。血液培養でKlebsiella pneumoniaeが検出され,術翌日より4日間セフタジジムの硝子体内注射を行った。6か月後には左眼矯正視力は1.2に改善した。

結論:眼内炎発症後早期に硝子体手術を施行し,術後に抗菌薬硝子体内注射を行ったことで,良好な治療後視力を得ることができた。

参考文献

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11)Tsai TH, Peng KL:Metastatic endophthalmitis combined with subretinal abscess in a patient with diabetes mellitus—a case report. BMC Ophthalmol 15:105, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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