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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻5号

2017年05月発行

文献概要

特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

乳癌の脈絡膜転移による網膜全剝離1症例に対する硝子体手術の術後経過

著者: 宮保浩子1 森秀夫1 徳永伸也2

所属機関: 1大阪市立総合医療センター眼科 2大阪市立総合医療センター腫瘍内科

ページ範囲:P.761 - P.765

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要約 目的:乳癌の脈絡膜転移による網膜全剝離に対する硝子体手術の経過の報告。

症例:63歳女性が左眼の視力低下で紹介受診した。1年前から右乳房に腫瘤があり,皮膚が潰瘍化した。2か月前から左乳房に硬結が生じた。1か月前に乳腺外科を受診し,両側の進行性乳癌と診断され,全身転移を伴っていた。

所見と経過:矯正視力は右1.0,左0.07で,左眼に裂孔不明の胞状の網膜剝離があった。硝子体手術を行い,術中に脈絡膜腫瘍のあることが判明したので,シリコーンオイルタンポナーデを行い,術後にホルモン療法を実施した。4か月後に腫瘍性隆起は消失し,0.6の視力を得た。2年後の現在まで再発はない。

結論:転移性脈絡膜腫瘍に続発した網膜全剝離に対し硝子体手術を行い,良好な結果を得た。術前診断では,画像を含め慎重な検討が必要であった。

参考文献

1)佐野秀一・石田康生・箕田 健生(編):眼内腫瘍.111-115,金原出版,東京,1999
2)Kanski JJ:カンスキー臨床眼科学.330-331,泰山堂書店,岡山,2015
3)Bloch R S, Gartner S:The incidence of ocular metastatic carcinoma. Arch Ophthalmol 85:673-675, 1971
4)Mewis L, Young SE:Breast carcinoma metastatic to the choroid. Analysis of 67 patients. Ophthalmology 89:147-151, 1982
5)全がん協生存率調査:URL http://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/
6)稲垣絵海・篠田 肇・荒川 聡・他:滲出性網膜剝離に対してベバシズマブ硝子体投与が奏効した転移性脈絡膜腫瘍の1例.あたらしい眼科28:587-592,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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