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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻5号

2017年05月発行

文献概要

特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

経過中に顕性化した特発性頭蓋内圧亢進症による乳頭腫脹

著者: 馬場高志1 唐下千寿1 河瀬真也2 岸真文2 古和久典2 山﨑厚志1 井上幸次1

所属機関: 1鳥取大学医学部視覚病態学分野 2鳥取大学医学部脳神経内科学分野

ページ範囲:P.771 - P.776

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要約 目的:乳頭腫脹が顕性化する前から経過を観察し,薬物治療後にその所見が軽快した特発性頭蓋内圧亢進症の1例の報告。

症例:15歳女性が頭痛の精査のため脳神経内科から紹介受診した。2年前から左眼に中心暗点があり,視神経炎と診断された。拍動性頭痛が生じ,慢性化した状態にあった。父と姉に頭痛,妹に頭痛とアトピー性皮膚炎があった。

所見と経過:矯正視力は右0.2,左0.3で,乳頭腫脹はなかった。髄液の成分と圧は正常範囲にあった。MRIを含む全身検査で異常はなかった。21歳になってから両眼の乳頭が急激に腫脹し,左右眼とも視力が0.1以下になった。髄液圧の亢進があり,特発性頭蓋内圧亢進症と診断された。肥満に対する食事療法とアセタゾラミド内服を行い,乳頭腫脹は軽快し,右0.07,左0.15の矯正視力を得た。

結論:本症例では,原因不明の頭痛が発症してから8年後に乳頭腫脹が顕性化し,特発性頭蓋内圧亢進症と診断された。

参考文献

1)Ball AK, Clarke CE:Idiopathic intracranial hypertension. Lancet Neurol 5:433-442, 2006
2)国際頭痛学会・頭痛分類委員会:特発性頭蓋内圧亢進(IIH)による頭痛.国際頭痛分類 第3版.85-86,医学書院,東京,2015
3)Markey KA, Mollan SP, Jensen RH et al:Understanding idiopathic intracranial hypertension:mechanisms, management, and future directions. Lancet Neurol 15:78-91, 2016
4)Sibony PA, Kupersmith MJ, Feldon SE et al:Retinal and choroidal folds in papilledema. Invest Ophthalmol Vis Sci 56:5670-5680, 2015
5)NORDIC Idiopathic Intracranial Hypertension Study Group Writing Committee:Effect of acetazolamide on visual function in patients with idiopathic intracranial hypertension and mild visual loss:the idiopathic intracranial hypertension treatment trial. JAMA 311:1641-1651, 2014
6)Trobe JD:Papilledema:the vexing issues. J Neuroophthalmol 31:175-186, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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