文献詳細
文献概要
特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
経過中に顕性化した特発性頭蓋内圧亢進症による乳頭腫脹
著者: 馬場高志1 唐下千寿1 河瀬真也2 岸真文2 古和久典2 山﨑厚志1 井上幸次1
所属機関: 1鳥取大学医学部視覚病態学分野 2鳥取大学医学部脳神経内科学分野
ページ範囲:P.771 - P.776
文献購入ページに移動症例:15歳女性が頭痛の精査のため脳神経内科から紹介受診した。2年前から左眼に中心暗点があり,視神経炎と診断された。拍動性頭痛が生じ,慢性化した状態にあった。父と姉に頭痛,妹に頭痛とアトピー性皮膚炎があった。
所見と経過:矯正視力は右0.2,左0.3で,乳頭腫脹はなかった。髄液の成分と圧は正常範囲にあった。MRIを含む全身検査で異常はなかった。21歳になってから両眼の乳頭が急激に腫脹し,左右眼とも視力が0.1以下になった。髄液圧の亢進があり,特発性頭蓋内圧亢進症と診断された。肥満に対する食事療法とアセタゾラミド内服を行い,乳頭腫脹は軽快し,右0.07,左0.15の矯正視力を得た。
結論:本症例では,原因不明の頭痛が発症してから8年後に乳頭腫脹が顕性化し,特発性頭蓋内圧亢進症と診断された。
参考文献
掲載誌情報