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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻6号

2017年06月発行

文献概要

特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著

視力障害を初発とし,初診から2週間の経過で死亡した髄膜癌腫症の1例

著者: 前田早織1 石川久美子1 田邊益美1

所属機関: 1製鉄記念広畑病院眼科

ページ範囲:P.953 - P.957

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要約 目的:視力障害で初発し,2週間後に死亡した髄膜癌腫症の1症例の報告。

症例:61歳の男性が3日前からの右眼視力低下で受診した。矯正視力は右手動弁,左0.4であった。右眼に相対的瞳孔求心路障害と耳側周辺のみを残す視野欠損があった。眼底には異常所見がなく,造影MRI検査で頭蓋内に異常所見がなかった。その翌日に両眼の視野障害が進行し,髄液に異型細胞が検出され,CTで肺腫瘤が発見された。以上から肺癌に続発した髄膜癌腫症が疑われたが,初診から16日後に死亡した。

結論:本症例での急速に進行した視力と視野障害は,肺癌に続発した髄膜癌腫症がその原因であったと推定される。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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