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臨床報告
上斜筋麻痺における他覚的外方回旋偏位と優位眼の影響
著者: 大平明彦1
所属機関: 1若葉眼科病院
ページ範囲:P.995 - P.999
文献購入ページに移動要約 目的:上斜筋麻痺における病的外方回旋の頻度と優位眼の影響を検討した。
対象と方法:上斜筋麻痺患者17名(両側性3名)。眼底写真上で他覚的回旋偏位角(DFA)を計測し,hole-in-the-card法で優位眼を特定した。
結果:麻痺眼20眼のうち9眼(45%)で病的外方回旋を認めた。片側性患者の麻痺眼DFAにおいては,麻痺眼優位の患者が健眼優位の患者よりも有意(p<0.01)に小さかった。片側性患者の健眼DFAは,正常者よりも大きかった(p<0.05)。
結論:上斜筋麻痺での麻痺眼における病的DFAの出現頻度は高くない。健眼でもDFAは増大している。優位眼はDFAに影響する。麻痺に対する運動適応・感覚適応も作用した結果,各眼のDFA値が決まるのであろう。
対象と方法:上斜筋麻痺患者17名(両側性3名)。眼底写真上で他覚的回旋偏位角(DFA)を計測し,hole-in-the-card法で優位眼を特定した。
結果:麻痺眼20眼のうち9眼(45%)で病的外方回旋を認めた。片側性患者の麻痺眼DFAにおいては,麻痺眼優位の患者が健眼優位の患者よりも有意(p<0.01)に小さかった。片側性患者の健眼DFAは,正常者よりも大きかった(p<0.05)。
結論:上斜筋麻痺での麻痺眼における病的DFAの出現頻度は高くない。健眼でもDFAは増大している。優位眼はDFAに影響する。麻痺に対する運動適応・感覚適応も作用した結果,各眼のDFA値が決まるのであろう。
参考文献
1)Ruttum M, von Noorden GK:Adaptation to tilting of the visual environment in cyclotropia. Am J Ophthalmol 96:229-237, 1983
2)Dieterich M, Brandt T:Ocular torsion and perceived vertical in oculomotor, trochlear and abducens nerve palsies. Brain 116:1095-1104, 1993
3)堀川晶代・平井美恵・古瀬 尚・他:背理性外方回旋.臨眼56:1451-1454,2002
4)大平明彦:眼底写真で測定した生理的外方回旋角に加齢が与える影響.日眼会誌120:548-551,2016
5)堀川晶代・平井美恵・河野玲華・他:走査型レーザー検眼鏡(SLO)による回旋偏位の解析.臨眼54:85-88,2000
6)Oliver P, von Noorden GK:Excyclotropia of the nonparetic eye in unilateral superior oblique muscle paralysis. Am J Ophthalmol 93:30-33, 1982
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