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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻7号

2017年07月発行

文献概要

特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著

手術加療をせずに良好な視力を得た片眼性後部円錐水晶体の1例

著者: 山田美穂1 小菅正太郎1 入戸野晋1 高橋春男1 稲冨誠1

所属機関: 1昭和大学病院附属東病院眼科

ページ範囲:P.1027 - P.1030

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要約 目的:手術をせずに良好な視力が得られた後部円錐水晶体の1例の報告。

症例:3歳9か月の女児が,右眼の視力不良で紹介受診した。

所見と経過:初診時の矯正視力は,右0.4,左1.0であった。右眼の水晶体後面が,中央からやや内下方部が硝子体側に円錐状に突出し,突出部の後囊下に混濁があった。屈折は,右+2.0D()cyl−2.5D 15°,左+0.5Dであった。健眼遮蔽と眼鏡装用を開始した。右眼の矯正視力は,3か月後に0.9,9か月後に1.0になった。初診から5年後の現在,右眼視力1.2を維持し,立体視も正常である。

結論:後囊突出部が後極部を避け,混濁が進行しない後部円錐水晶体では,手術加療なしで良好な矯正視力が維持される症例がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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