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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻8号

2017年08月発行

臨床報告

白内障手術におけるα2作動性鎮静薬(デクスメデトミジン)の有用性

著者: 筒井順一郎1 宮崎洋子1 近藤晶子1 瀧賢一郎2

所属機関: 1国立病院機構熊本医療センター眼科 2国立病院機構熊本医療センター麻酔科

ページ範囲:P.1165 - P.1171

文献概要

要約 目的:α2作動性鎮静薬(デクスメデトミジン)を使用した鎮静下白内障手術の成績報告。

対象と方法:過去1年間に,白内障手術に際しデクスメデトミジンにて鎮静を行ったのべ63例(男性25例,女性38例,平均年齢77.6歳)について周術期の状況を解析した。

結果:選択理由は軽度の認知症32例,安定している精神疾患18例,軽度の知的障害3例など,外来診察は可能であるが,術中の安静が困難と判断した症例であった。循環動態が安定しなかった1例と,極量投与でも鎮静が得られなかった1例を除き,手術は安全に実施できた。全例において術中,術後の合併症はない。全身麻酔に比べ,手術室での所要時間は有意に短縮できた。

結論:白内障手術においてデクスメデトミジンでの鎮静は安全で有用な方法といえる。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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