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特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著
逆Marcus Gunn現象がみられた先天眼瞼下垂の乳児例
著者: 三田萌1 河野和恵1 玉井希恵1 中村杏子1 市川良和1 中村桂三1 石田政弘1 林孝雄2
所属機関: 1帝京大学医学部附属溝口病院眼科 2帝京大学医学部眼科学講座
ページ範囲:P.1233 - P.1237
文献購入ページに移動症例:生後10か月の男児が右眼の眼瞼下垂で受診した。既往歴には問題がなく,在胎40週で吸引分娩で出生した。哺乳などで開口したときに右眼の眼瞼下垂が増悪し,ほとんど閉瞼するとのことであった。
所見と経過:右眼は固視不良で,左眼を遮閉すると嫌悪反射を示した。眼瞼運動は正常で,右上眼瞼は左方視で下垂,右方視で軽快,下方視で後退した。Bell現象はなかった。以上より逆Marcus Gunn現象と診断した。左眼の終日遮閉を6日間行い,両眼とも固視良好になり,顎上げの代償頭位で見ることが多くなった。生後1歳5か月時に行ったMRIで,脳と眼窩に異常はなかった。
結論:Marcus Gunn現象が,三叉神経外側翼突筋枝と動眼神経上眼瞼拳筋枝との間の興奮性の異常連合であるのに対し,逆Marcus Cunn現象は,両者の抑制性の異常連合とされているが,単一疾患ではない可能性がある。
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