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連載 蛍光眼底造影クリニカルカンファレンス・第19回
脈絡膜新生血管
著者: 小笠原雅1 齋藤昌晃2
所属機関: 1福島県立医科大学眼科学講座 2秋田大学大学院医学系研究科医学専攻病態制御医学系眼科学講座
ページ範囲:P.1318 - P.1327
文献購入ページに移動脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)は,滲出型加齢黄斑変性(exudative age-relatied macular degeneration:AMD)の主要所見の1つとされ,出血や滲出性変化をきたし,視力低下や変視症,視野障害をもたらす重要な所見である。CNVは病理組織学的分類で網膜色素上皮(retinal pigment epithelium:RPE)の上にあるtype 2 CNV,RPEの下に位置するtype 1 CNVに大別される(Gass分類)1)(第11回のBasic Note参照)。
AMD以外の疾患でCNVを伴うことがある。主な疾患には,変性近視,網膜色素線条(angioid streaks:AS),原田病をはじめとする網脈絡膜炎,外傷性脈絡膜破裂,などがあり,これらを除いた若年〜中高年に発症する原因不明の黄斑部のCNVを特発性脈絡膜新生血管(idiopathic CNV:ICNV)と呼ぶ。これらのCNVはtype 2 CNVであることが多く,フルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography:FA)では造影初期に境界鮮明な過蛍光を示し,後期では旺盛な蛍光漏出を示すclassic CNVを呈する。近年光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)の測定速度や解像度の向上,さらにはOCT angiographyの登場により,OCT所見はCNVの有無の診断や,主な治療である抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)療法の追加治療の判定に重要な存在となっている。
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