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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻9号

2017年09月発行

文献概要

特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著

猫ひっかき病が原因となった視神経網膜炎の2例

著者: 上田将弘1 倉田健太郎1 古森美和1 堀田喜裕1

所属機関: 1浜松医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1345 - P.1351

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要約 目的:異なる方法で治療した猫ひっかき病に伴う視神経網膜炎の2例の報告。

症例:それぞれ34歳と53歳の女性で,いずれも片眼に発症した。2例ともに猫の飼育歴があり,数日前に発熱があった。患眼の矯正視力は,それぞれ0.09と0.02で,乳頭浮腫,乳頭黄斑間の網膜下液の貯留,星芒状白斑があった。血清学的にBartonella henselae抗体が陽性で,猫ひっかき病と診断した。1例には副腎皮質ステロイドの全身投与を行い,他の1例は無治療とした。それぞれ3か月後と14か月後に,1.0と0.8の最終視力を得た。

結論:猫ひっかき病による眼病変への治療法は確立していないので,病状に応じた加療を選択するべきである。

参考文献

neuroretinitis in cat scratch disease. Ophthalmology 105:459-466, 1998
2)武藤哲也・田中 朗・新井清美・他:薬物投与を行わずに治癒したネコひっかき病による視神経網膜炎の1例.眼科47:1997-2002,2005
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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