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特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著
白内障術後に水痘帯状ヘルペスウイルス虹彩炎を生じ,経過中に交感性眼炎をきたした1例
著者: 竹宮信子1 菅野美貴子1 稲用和也2
所属機関: 1河北総合病院眼科 2東京警察病院眼科
ページ範囲:P.1369 - P.1375
文献購入ページに移動症例:72歳女性が左眼の虹彩炎と眼圧上昇で紹介受診した。2か月前に両眼の白内障手術を受けていた。
所見と経過:矯正視力は右1.2,左0.7で,眼圧は右8mmHg,左22mmHgであった。左眼にフィブリン形成を伴う虹彩炎があり,術後の眼内炎が疑われた。3日後に眼内レンズの交換と硝子体手術を行い,前房水の細菌培養の結果は陰性であった。初診の11日後に前眼部炎症が再燃し,眼圧が上昇した。左眼の硝子体手術と線維柱帯切除術を行い,前房水から水痘帯状ウイルスDNAが検出された。抗ウイルス薬投与を行い,炎症は改善した。初診から5か月後に脈絡膜剝離と虹彩炎が両眼に生じ,交感性眼炎と診断した。ステロイドの全身と局所投与で2か月後に炎症は消退し,両眼とも1.2の視力を得た。
結論:眼手術の回数が多いほど交感性眼炎が生じやすい可能性を本症例は示している。
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