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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科71巻9号

2017年09月発行

文献概要

特集 第70回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著

乳児内斜視における交代性上斜位の手術治療成績

著者: 中野由美子1 野村耕治1 福永とも子1 柳沢翠芳1

所属機関: 1兵庫県立こども病院眼科

ページ範囲:P.1415 - P.1421

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要約 目的:乳児内斜視の術後に生じた交代性上斜位(DVD)の治療成績の報告。

対象と方法:過去21年間にDVDに対する手術を行い,2年以上の経過を追えた28例を対象とした。乳児内斜視の初回手術の時期と,DVDの手術方法による術前,術1か月後と2年後の上方偏位量と水平眼位を検討した。

結果:内斜視に対し,9か月以内の超早期手術が5例,早期手術が17例,晩期手術が6例に行われた。DVDに対し,両眼の上直筋の大量後転術が17例,両眼の下斜筋の前方移動術が11例,両術式の併用が5例に行われた。超早期群では術後のDVDは改善し,上方の偏位量が全例で10Δ未満に減少した。超早期と早期手術群では,いずれの術式によっても上方の偏位量が減少し,術前後の水平眼位に変化はなかった。

結論:両眼の上直筋の大量後転術と両眼の下斜筋の前方移動術は,いずれもDVDの改善に有効であった。

参考文献

1)Von Noorden GK:Binocular Vision and Ocular Motility:Theory and Management of Strabismus. 6th ed. 311-355, Mosby, St Louis, 2002
2)西崎雅也・八木美津子・野村耕治・他:交代性上斜位手術の水平眼位への影響.眼臨医報:98:328-331,2004
3)矢ヶ崎悌司・栗屋 忍・佐藤美保・他:交代性上斜位を伴う下斜筋過動に対する下斜筋前方移動術の効果.眼臨医報87:1604-1610,1993
4)矢ヶ崎悌司・佐藤美保・野村秀樹・他:水平斜視に対する両眼下斜筋前方移動術の影響.眼臨医報91:196-199,1997
5)古川理子・石坂真美・新見明子・他:DVDに対する上直筋後転術と下斜筋前方移動術の成績.眼臨医報95:644-647,2001
6)Guemes A, Wright KW:Effect of graded anterior transposition of the inferior oblique muscle on versions and vertical deviation in primary position. J AAPOS 2:201-206, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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