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増刊号 7年前の常識は現在の非常識!—眼科診療の最新標準 2.眼表面・角膜疾患 2)診断・治療
ドライアイに対するTear Film Oriented Diagnosis
著者: 横井則彦1
所属機関: 1京都府立医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.79 - P.83
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以前の常識
●2006年の診断基準では,ドライアイは,自覚症状,涙液異常〔涙液層破壊時間(BUT)異常(5秒以下),または,シルマーテスト1法異常(5mm以下)〕,上皮障害で診断されていた。そのため検査結果から,涙液減少型とBUT短縮型のドライアイを区別することが可能であった。
現在の常識
●2016年の診断基準では,ドライアイは,自覚症状,BUT異常(5秒以下)で診断されるようになったが,ドライアイのサブタイプを分類することができない。
●眼表面の層別診断(TFOD)は,涙液層の破壊パターンに基づいて,①その破壊をもたらす眼表面の不足成分の看破,②ドライアイのサブタイプ分類,③破壊を防ぐことでドライアイを治療しうる眼表面の層別治療(TFOT)の提案の3つを可能にする方法である。
以前の常識
●2006年の診断基準では,ドライアイは,自覚症状,涙液異常〔涙液層破壊時間(BUT)異常(5秒以下),または,シルマーテスト1法異常(5mm以下)〕,上皮障害で診断されていた。そのため検査結果から,涙液減少型とBUT短縮型のドライアイを区別することが可能であった。
現在の常識
●2016年の診断基準では,ドライアイは,自覚症状,BUT異常(5秒以下)で診断されるようになったが,ドライアイのサブタイプを分類することができない。
●眼表面の層別診断(TFOD)は,涙液層の破壊パターンに基づいて,①その破壊をもたらす眼表面の不足成分の看破,②ドライアイのサブタイプ分類,③破壊を防ぐことでドライアイを治療しうる眼表面の層別治療(TFOT)の提案の3つを可能にする方法である。
参考文献
1)Toda I, Shimazaki J, Tsubota K:Dry eye with only decreased tear break-up time is sometimes associated with allergic conjunctivitis. Ophthalmology 102:302-309, 1995
2)島崎 潤(ドライアイ研究会):2006年ドライアイ診断基準.あたらしい眼科24:181-184,2007
3)Yokoi N, Uchino M, Uchino Y et al:Importance of tear film instability in dry eye disease in office workers using visual display terminals:The Osaka Study. Am J Ophthalmol 159:748-754, 2015
4)Tsubota K, Yokoi N, Shimazaki J et al:New perspectives on dry eye definition and diagnosis:A consensus report by the Asia Dry Eye Society. Ocul Surf 15:65-76, 2017
5)島崎 潤・横井則彦・渡辺 仁・他:日本のドライアイの定義と診断基準の改定(2016年度版).あたらしい眼科34:309-313,2017
6)Yokoi N, Kato H, Kinoshita S:Facilitation of tear fluid secretion by 3% diquafosol ophthalmic solution in normal human eyes. Am J Ophthalmol 157:85-92, 2014
7)加藤弘明・横井則彦:ムチンの産生を増やす治療.あたらしい眼科29:329-332,2013
8)ドライアイ研究会(http://www.dryeye.ne.jp/tfot/index.html)
9)横井則彦:ドライアイの治療方針:TFOT.あたらしい眼科32:9-16,2015
10)横井則彦:ドライアイ診療のための涙液層のブレイクアップ分類最前線.あたらしい眼科34:315-322,2017
11)Yokoi N, Georgiev GA, Kato H et al:Classification of fluorescein breakup patterns:A novel method of differential diagnosis for dry eye. Am J Ophthalmol 180:72-85, 2017
12)横井則彦:涙液層における油層と液層の関連(正常状態と異常).坪田一男(編):マイボーム腺機能不全(MGD)の診断と治療.33-44,金原出版,東京,2016
13)Georgiev GA1, Yokoi N, Ivanova S et al:Surface relaxations as a tool to distinguish the dynamic interfacial properties of films formed by nomal and diseased meibomian lipids. Soft Matter 30:5579-5588, 2014
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