文献詳細
文献概要
増刊号 7年前の常識は現在の非常識!—眼科診療の最新標準 3.緑内障 Special Lecture
緑内障と自動車運転
著者: 国松志保1
所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科神経感覚器病態学講座眼科学分野
ページ範囲:P.195 - P.198
文献購入ページに移動はじめに
都市部では,バス・地下鉄・電車などの公共交通機関が充実しているため,視野の狭い患者本人が,実際に自転車を運転をすることは少ないが,地方では自動車以外の移動手段がなく,患者本人が自動車の運転に頼らざるをえない。2007年度の旅客輸送機関分担率調査(国土交通省)では,47都道府県のうち34県で,府県内の移動の90%以上が自動車に依存しているという結果であった。そのため,地方では中心視力だけに頼って車の運転をしている視野狭窄患者は非常に多いと予想される。しかし,実際には信号機などの道路標識の認識,右折・左折時の歩行者や自転車の確認のためには,中心視力だけでなく十分な視野が必要であり,自動車運転を続けている末期緑内障患者では,視野障害による安全確認の不足が原因の交通事故を引き起こしうる1)。
都市部では,バス・地下鉄・電車などの公共交通機関が充実しているため,視野の狭い患者本人が,実際に自転車を運転をすることは少ないが,地方では自動車以外の移動手段がなく,患者本人が自動車の運転に頼らざるをえない。2007年度の旅客輸送機関分担率調査(国土交通省)では,47都道府県のうち34県で,府県内の移動の90%以上が自動車に依存しているという結果であった。そのため,地方では中心視力だけに頼って車の運転をしている視野狭窄患者は非常に多いと予想される。しかし,実際には信号機などの道路標識の認識,右折・左折時の歩行者や自転車の確認のためには,中心視力だけでなく十分な視野が必要であり,自動車運転を続けている末期緑内障患者では,視野障害による安全確認の不足が原因の交通事故を引き起こしうる1)。
参考文献
1)青木由紀・国松志保・原 岳・他:自治医科大学緑内障外来にて交通事故の既往を認めた末期緑内障患者の2症例.あたらしい眼科25:1011-1016,2008
2)近藤玲子・國松志保・保沢こずえ・他:後期緑内障患者運転免許取得者の視野範囲の検討.あたらしい眼科31:895-898,2014
3)Owsley C, McGwin G Jr, Ball K:Vision impairment, eye disease, and injurious motor vehicle crashes in the elderly. Ophthal Epidemiol 5:101-113, 1998
4)Tanabe S, Yuki K, Ozeki N et al:The Association between Primary Open-Angle Glaucoma and Motor Vehicle Collisions. Invest Ophthalmol Vis Sci 52:4177-4181, 2011
5)青木由紀・国松志保・原 岳・他:緑内障患者における自動車運転実態.あたらしい眼科29:1013-1017,2012
6)McGwin G, Mays A, Joiner W et al:Is glaucoma associated with motor vehicle collision involvement and driving avoidance? Invest Ophthalmol Vis Sci 45:3934-3939, 2004
7)Kunimatsu-Sanuki S, Iwase A, Araie M et al:An assessment of driving fitness in patients with visual impairment to understand the elevated risk of motor vehicle accidents. BMJ Open doi:10.1136/bmjopen-2014-006379, 2015
8)Kunimatsu-Sanuki S, Iwase A, Araie M et al:The role of specific visual subfields in collisions with oncoming cars during simulated driving in patients with advanced glaucoma. Br J Ophthalmol 101:896-901, 2017
9)国松志保:視野狭窄が運転へ与える影響.自動車技術会会誌70:25-29,2016
掲載誌情報