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特集 涙器涙道手術の最近の動向
涙道閉塞の診断と治療のコツ
著者: 野口敦司1
所属機関: 1藤枝市立総合病院眼科
ページ範囲:P.1546 - P.1552
文献購入ページに移動近年,涙道内視鏡の普及により病態の理解が進み,診断,治療の質が上がってきている。平成30年(2018年)4月の診療報酬改定によって涙道内視鏡検査が新設され(640点),涙道内視鏡検査のみでも点数が取れることとなった。涙道診療への関心がさらに高まることは間違いなく,現在は涙道内視鏡を使用していない施設においても,今後導入を検討するところが増えてくることが期待される。涙道内視鏡下で閉塞部位を内視鏡で直接穿破する方法(direct endoscopic probing:DEP)1)に加え,シースを涙道内視鏡に装着し閉塞部位を穿破するシース誘導内視鏡下穿破法(sheath guided endoscopic probing:SEP)2)が報告され,その後,シースをガイドとして涙管チューブを挿入する方法(sheath guided intubation:SGI)3)と組み合わせて普及していった。
一方,涙管チューブ挿入術は鼻涙管閉塞に対しては再閉塞をきたす可能性が高く4),長期では術後の再閉塞率が術後3,000日で64%であると報告されている5)。鼻涙管閉塞に対しての涙管チューブ挿入術の治療には,ある一定の再発があることを念頭に置くべきであり,涙囊鼻腔吻合術(dacryocystorhinostomy:DCR)のほうが再閉塞が少なく,治療成績がよい。また,基本的な検査法である涙管通水検査は涙道内視鏡が普及したとしてもやはり重要な検査であることに変わりはなく,涙道の状態について正しく診断したうえで正しい術式を選択することが大切である。
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