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臨床報告
網膜硝子体出血により牽引性網膜剝離をきたした再生不良性貧血の1例
著者: 長谷川綾華1 今泉寛子1 宮本寛知1 清水美穂1 木下貴正1 岩﨑将典1 森潤也1 畑中彬良1 渡邊真弓1 宮部靖子1
所属機関: 1市立札幌病院眼科
ページ範囲:P.1709 - P.1714
文献購入ページに移動症例:15歳の男性に両眼の視力低下が突発し,近医で両眼の網膜出血と網膜前出血が指摘された。強い汎血球減少があり,最重症型の再生不良性貧血と診断された。内科に入院し,眼科を紹介され受診した。
所見と経過:矯正視力は右0.7,左指数弁であった。右眼には網膜出血が多発し,黄斑部に漿液性網膜剝離(SRD)があり,左眼には後極部全体に大量の網膜前と網膜下出血があった。貧血に対する治療で,右眼の網膜出血は改善したが,左眼では硝子体混濁が遷延し,初診5か月後に再出血し,TRDが併発した。左眼に硝子体手術を行い,術中所見として血管アーケードに沿う輪状のTRDがあった。2か月後に再剝離が生じ再手術を行った。網膜は復位し,初診から20か月後の現在,右1.2,左0.2の矯正視力を維持している。
結論:本症例では,再生不良性貧血に併発した大量の網膜前出血が遷延すると,TRDが生じた。貧血に対する内科での治療と連携し,早期の硝子体手術が可能になり,視力改善が得られた。
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