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文献概要
特集 眼窩疾患の最近の動向
企画にあたって
著者: 中澤満1
所属機関: 1弘前大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.141 - P.141
文献購入ページに移動 眼科一般診療において眼窩疾患の占める頻度はさほど高くはない。例えば,一般的な地方の中核施設と考えられる筆者の属する施設では全新患患者のうち眼窩・眼瞼疾患合計で2%程度である。しかし,眼窩に発生する疾患は炎症性疾患,腫瘍性疾患,感染性疾患など多岐にわたり,場合により視神経障害から重篤な視覚障害を起こすことや,高度の疼痛を生じることがあるため,的確な診断に基づく迅速かつ適切な治療が要求されることが多い。かつては診断的治療という大義名分でステロイド療法を続け,なかには効果がみられた例も確かに散見されたが,逆に進行させてしまうということも現実にはみられた。
近年,日本眼腫瘍学会などが中心となって,IgG4関連眼疾患という病名で統一された眼窩炎症性疾患の病態の理解が進み,治療法に関してもステロイド療法によるコントロール方法が検討されつつある。また,各種の分子標的薬の開発と実用化により悪性リンパ腫への化学療法も効果が得られてきている。さらに,本企画では触れなかったが重粒子線療法などの新しい放射線治療手段の開発と実用化によって,眼窩悪性腫瘍の眼球温存療法なども選択肢に入れられるようになってきた。
近年,日本眼腫瘍学会などが中心となって,IgG4関連眼疾患という病名で統一された眼窩炎症性疾患の病態の理解が進み,治療法に関してもステロイド療法によるコントロール方法が検討されつつある。また,各種の分子標的薬の開発と実用化により悪性リンパ腫への化学療法も効果が得られてきている。さらに,本企画では触れなかったが重粒子線療法などの新しい放射線治療手段の開発と実用化によって,眼窩悪性腫瘍の眼球温存療法なども選択肢に入れられるようになってきた。
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