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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科72巻2号

2018年02月発行

文献概要

特集 眼窩疾患の最近の動向

眼窩炎症性疾患の病態と診断のコツ

著者: 平岡孝浩1

所属機関: 1筑波大学医学医療系眼科

ページ範囲:P.160 - P.168

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はじめに

 眼窩の炎症性疾患はさまざまな原因により生じるが,その緊急性や重傷度からまずは眼窩蜂巣炎などの感染性疾患を鑑別する必要がある。また悪性リンパ腫のような腫瘍性疾患を鑑別することも重要である。最近注目されているIgG4関連眼疾患の頻度も比較的高く,その他では甲状腺眼症やWegener肉芽腫のような免疫介在性の疾患も念頭に置かなければならない。

 さらに特発性眼窩炎症は他の疾患を除外したうえで診断される原因不明の炎症であるが,日常診療において一定の頻度で遭遇する疾患であり,特徴的な臨床所見を有するため典型例については押さえておく必要がある。この類縁疾患として原因不明の炎症が外眼筋に限局して生じるものを特発性眼窩筋炎(外眼筋炎)といい,特発性眼窩炎症の亜型として考えられているが,この詳細については前項に譲る。その他,頻度は低いが,サルコイドーシス,抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)関連血管炎(Churg-Strauss症候群,顕微鏡的多発血管炎),真菌・寄生虫感染,眼窩内異物なども鑑別疾患として挙げられる。

 本稿では眼窩内に炎症をきたす代表的な疾患の特徴をまとめ,それらの診断のポイントについて解説する。

参考文献

1)Okamoto Y, Hiraoka T, Okamoto F et al:A case of subperiosteal abscess of the orbit with central retinal artery occlusion. Eur J Ophthalmol 19:288-291, 2009
2)大上智弘・平岡孝浩・能勢晴美・他:発見が困難であった眼窩内木片異物の2症例.眼紀1:657-661,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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