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特集 眼窩疾患の最近の動向
眼窩腫瘍の鑑別診断のコツ
著者: 笠井健一郎1
所属機関: 1国立病院機構高崎総合医療センター眼形成眼窩外科
ページ範囲:P.170 - P.181
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眼科の日常診療で眼窩腫瘍に遭遇する頻度は高くない。しかし,眼窩腫瘍は他の眼疾患とは異なり,病変を直接観察できないため病変が増大してから気付かれることが多く,発見時はすでに進行している場合があり,治療開始が遅れることもある。われわれ眼科医には馴染みの少ない疾患であるため,ともすればいたずらに経過観察してしまう可能性も否定できないが,眼窩悪性腫瘍は生命予後に重大な影響を及ぼすことを忘れてはならない。
したがって,眼窩腫瘍を疑った場合,早期に検査および診断,治療を行うことは眼科医の責務である。早期発見,早期治療を目指すには,何よりも日常診療で眼窩腫瘍を疑って診察する姿勢が大切である。
本稿では,一般眼科医の先生方が眼窩腫瘍の鑑別診断を行ううえで,知っているだけで役に立つ情報を,専門医の立場からまとめてみた。診療の一助になれば幸いである。
眼科の日常診療で眼窩腫瘍に遭遇する頻度は高くない。しかし,眼窩腫瘍は他の眼疾患とは異なり,病変を直接観察できないため病変が増大してから気付かれることが多く,発見時はすでに進行している場合があり,治療開始が遅れることもある。われわれ眼科医には馴染みの少ない疾患であるため,ともすればいたずらに経過観察してしまう可能性も否定できないが,眼窩悪性腫瘍は生命予後に重大な影響を及ぼすことを忘れてはならない。
したがって,眼窩腫瘍を疑った場合,早期に検査および診断,治療を行うことは眼科医の責務である。早期発見,早期治療を目指すには,何よりも日常診療で眼窩腫瘍を疑って診察する姿勢が大切である。
本稿では,一般眼科医の先生方が眼窩腫瘍の鑑別診断を行ううえで,知っているだけで役に立つ情報を,専門医の立場からまとめてみた。診療の一助になれば幸いである。
参考文献
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