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特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著
虹彩腫瘤の角膜後面接触による水疱性角膜症に対し角膜内皮移植術が有効であった1例
著者: 大谷洋揮1 土至田宏1 柏木広哉2 松崎有修1 小森翼1 朝岡聖子1 市川浩平1 林雄介1 桑名亮輔1 太田俊彦1
所属機関: 1順天堂大学医学部附属静岡病院眼科 2静岡県立静岡がんセンター眼科
ページ範囲:P.359 - P.362
文献購入ページに移動症例:79歳,女性。検診で視力低下を指摘され,当科を初診。初診時,左眼の虹彩耳側に孤立性の隆起性腫瘤およびその近傍の虹彩裂孔と両眼の白内障を認め,矯正視力は両眼とも0.7であった。角膜内皮細胞密度は右2,564個/mm2,左517個/mm2であった。既往歴としては右腎細胞癌が指摘され,4か月後に右腎摘出術が施行されたが,眼および全身への転移は否定された。その後,白内障および水疱性角膜症が進行したため,後日DSAEKを施行することを前提に左白内障手術を施行。その際,虹彩腫瘤切除術を併施した。病理組織学的検査では腫瘍細胞は認めず,細胞成分が不明瞭な色素顆粒の集積を認め,虹彩囊腫と考えられた。水疱性角膜症の進行に伴い,矯正視力が0.05に低下したためDSAEKを施行。DSAEKの術後1か月目には矯正視力が0.6に達し,12か月目においても0.6を維持していた。DSAEK術後12か月目の角膜内皮細胞密度は1,441個/mm2で,角膜内皮細胞減少率は42%であった。
結論:虹彩腫瘤の原因は不明であったが,幼少時の眼科通院歴から眼外傷の既往の可能性が推定された。虹彩腫瘤は角膜後面接触により水疱性角膜症を発症することがあるが,腫瘤摘出後のDSAEKは有効と思われた。
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