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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科72巻3号

2018年03月発行

文献概要

特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著

抗MOG抗体高力価陽性脳脊髄炎後に発症した視神経炎の1例

著者: 前嶋京子1 花田厚枝12 金子仁彦3 高橋利幸4 須永康夫5

所属機関: 1JCHO群馬中央病院眼科 2群馬大学大学院医学系研究科脳神経病態制御学講座眼科学 3東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座神経内科学 4NHO米沢病院神経内科 5JCHO群馬中央病院小児科

ページ範囲:P.401 - P.405

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要約 目的:抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(MOG)抗体が高値の脳脊髄炎後に視神経炎が発症した1症例の報告。

症例:6歳女児。発熱,頸部の疼痛,歩行障害を発症し,当院小児科へ入院。その際,視力は左右とも1.2であった。MRIで大脳と視床,脊髄に高信号域があり,脳脊髄炎と診断された。メチルプレドニゾロンによるステロイドパルス治療1クール施行後,症状は軽快した。髄液の抗MOG抗体は強陽性であった。退院7日後,両眼の視力障害で再受診。

所見と経過:視力は左右眼とも光覚弁で,両眼に強い乳頭浮腫があった。両眼の視神経にMRIで高信号があり,視神経炎と診断した。ステロイドのパルス療法で,3クール後に視力は左右眼とも1.2に回復した。3か月後の抗MOG抗体は大きく低下した。以後13か月間,視神経炎の再発はない。

結論:抗MOG抗体が高値の脳脊髄炎の治療後に視神経炎が発症し,ステロイドパルス療法で寛解した。

参考文献

1)咲山 豊・中尾雄三・山田泰生・他:小児の視神経炎について.眼科39:643-647,1997
2)毛塚剛司:神経眼科における免疫学的進歩.視神経脊髄炎.神経眼科31:5-12,2014
3)戸島慎二・秋元悦子・長岡義晴・他:Clinically isolated syndromeと診断された小児視神経炎に対し血漿交換を行った1例.臨眼69:341-345,2015
4)Tsuburaya SR, Miki N, Tanaka M et al:Anti-myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)antibodies in a Japanese boy with recurrent optic neuritis. Brain & Development 37:145-158, 2015
5)竹内 崇・小島正嗣・緒方奈保子:光覚消失するもステロイドが奏効した抗MOG抗体陽性視神経炎.臨眼71:1259-1263,2017
6)大城あずさ・仲村貞郎・玉城邦人・他:血漿交換療法を行った抗myelin oligodenndrocyte glycoprotein(MOG)抗体陽性neuromyelitis optica spectrum disorderの1例.脳と発達48:199-203,2016
7)中島一郎:アクアポリン4抗体とNMO.神経眼科32:128-134,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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