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臨床報告
結膜滲出液を含む涙液を用いたアデノウイルス検出増感キットの評価
著者: 上野智弘1 川村朋子1 佐伯有祐1 七田祐子1 右田博敬2 藤本嗣人3 内尾英一1
所属機関: 1福岡大学医学部眼科 2みぎた眼科 3国立感染症研究所
ページ範囲:P.481 - P.486
文献購入ページに移動対象および方法:2016年7〜11月に福岡大学病院眼科およびみぎた眼科を受診したAdV結膜炎が疑われる93眼に2種類の迅速診断キットで検査を行った。対照キットとして結膜ぬぐい液を用いた従来のIC法キットを用いた。評価キットは,ろ紙を結膜に付着させて採取した涙液を検体とし,銀増幅IC法による専用の自動測定機器で測定された。AdV DNAの検出はreal-time PCR法で行い,遺伝子配列により型別判定を行った。
結果:全93眼のうちAdV54型が55眼,3型および19/64型がそれぞれ2眼検出された。対照キットおよび評価キットのそれぞれのPCR法に対する感度は89.8%,98.3%であり,特異度はいずれも100%であった。2種のIC法のPCR法陽性例における感度の差には有意差があった(p<0.01)。
結論:涙液を検体とした評価キットは結膜擦過が不要で,患者への負担が少なかった。専用機器で増感を行い,対照キットに比較して感度が高かった。評価キットは客観的で有用であると考えられた。
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