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特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
後天性眼トキソプラズマ症の臨床的特徴の検討
著者: 松島亮介1 大井桂子1 後藤浩1
所属機関: 1東京医科大学臨床医学系眼科学分野
ページ範囲:P.513 - P.518
文献購入ページに移動対象と方法:東京医科大学病院眼科で後天性眼トキソプラズマ症と診断された24例28眼を対象に,眼底病変の局在,フルオレセイン蛍光眼底造影(FA)所見,血清トキソプラズマIgM抗体,治療内容,再発の回数,視力予後について診療録をもとに検討した。
結果:病変は後極部に最も多く18眼を占め,Edmund-Jensen型は2眼,その他が17眼であった。20例にFAを施行し,black centerを伴う輪状過蛍光が10眼(50%)で,網膜血管炎が20眼中12眼にみられた。18例で血清トキソプラズマIgM抗体の測定が行われ,そのうち9例(50%)で上昇が確認された。治療はアセチルスピラマイシン内服のみが10例,同薬とステロイドの内服が5例,同薬とステロイドの局所注射が2例,クリンダマイシンの内服のみが2例で,その他が4例であった。経過観察中,22眼では一度も再発せず,2眼で1回,1眼で2回,3眼で3回の再発があった。治療の前後で矯正視力に有意差はなく,最終矯正視力0.8以上が26眼中15眼(58%)を占めた。
結論:後天性眼トキソプラズマ症は再発を繰り返すこともある疾患であるが,治療に対する反応は良好で,視力予後も比較的予後良好であった。血清トキソプラズマIgM抗体の上昇は診断に重要であるが,IgM抗体の上昇が確認できなくても後天性眼トキソプラズマ症の可能性を否定できるものではない。
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